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【東京23区賃貸マンション市場】23区全域で賃料上昇。今後もトレンドは継続する?
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2025.10.27

2024年度下半期(2024年10月〜2025年3月)の東京23区賃貸マンション市場において、23区全てで平均成約坪単価が上昇した。平均坪単価17,000円を突破する行政区数は前年の2区から5区へと大幅に拡大し、周辺エリアにも都心エリアの価格上昇圧力が及んでいる。
現在の市場のトレンドをどのように捉えて、どのように今後を展望すれば良いのか。本レポートでは三井不動産レジデンシャルリースが分析した賃貸マンション市場の動向をお届けする。
全23区で賃料上昇、都心から外周部への波及が顕著

2024年度下半期における最大のトピックスは、東京23区全ての行政区で平均成約坪単価が前年度と比較して上昇したことだ。
特に平均坪単価17,000円を超える高単価エリアが2区(港区・渋谷区)から5区に拡大。新たに新宿区、目黒区、千代田区が加わり、都心部の賃料水準が一段と高まった。
さらに注目すべきは北区、荒川区といった、従来は比較的賃料が抑えられていたエリアでも、平均坪単価が13,000円を超えるようになった点である。都心の賃料上昇が過熱している影響か、都心部と比較すると賃料水準が低い外周部にまで賃料上昇が波及していると考えられる。
東京23区 |賃貸マンション物件の成約率・成約戸数

単身者向け物件の好調継続、需給構造に変化の兆し
間取り別の成約率では前期に続いてシングルタイプ(1K・1R)物件の堅調な推移が目立っている。2024年10月以降もシングルタイプが最高水準の成約率をキープし、他間取りを大きく上回る好パフォーマンスを見せている。
この要因としては需要と供給の不均衡という説明が妥当であろう。シングルタイプ物件は新規供給の減少が続く一方で、東京都区部へのシングル世帯流入の増加等が需要を下支えしていると考えられる。
東京23区 | 賃貸マンション物件の供給戸数・募集坪単価

賃料水準は間取り問わず上昇、広い住空間への需要拡大が鮮明
平均募集坪単価についても間取りにかかわらず全タイプで上昇傾向が継続している。また、上半期に引き続き「1BED(シングル・DINKS向け)」「2BED(DINKS・ファミリー向け)」の募集坪単価が「1K」「1R」の水準を上回った。「3BED(ファミリー向け)」の募集坪単価も前年同時期に比べ1,000円程度上昇しており、ファミリー向け物件の需要も堅調だ。
この傾向には地域特性が影響していると考えられる。賃料水準を牽引している都心部の港区、渋谷区、千代田区などでは、高所得層が多く、住環境の質を重視し、相応の対価を支払う意向を持つ層が多いため、2BED・3BEDの募集坪単価が高水準で推移する傾向にある。
入替時賃料変動率の状況

入替時の賃料改定率が急上昇、城東エリアで顕著な値上がり
入替時賃料変動率(三井不動産レジデンシャルリース管理物件における入居者の入れ替わり時における賃料改定率)は、全間取りで上昇傾向が継続している。
三井不動産レジデンシャルリースでは、最新の市場動向等を踏まえて、適切な賃料改定を実現している。
賃料上昇を支える複合的要因
マンション賃料の全面的な上昇には、構造的要因が複合的に作用していると考えられる。
第一の要因として、需要に対する供給が不足していることが挙げられよう。用地取得費・建築費の高騰等の影響による新築分譲マンションの供給量減少や、それにも影響を受けて賃貸マンションの入居期間が長期化傾向にあることで既存物件の退去率が低下する(退去後の募集量は減少)等、分譲・賃貸ともに供給量が減少する状況が続いている。こうした状況下において賃貸マンションに対する需要が相対的に高まり、それに伴い賃料水準が上昇していると考えられる。
第二の要因として、従前からの共働き世帯の増加による世帯あたりの賃料負担力向上に加えて、近時の賃金上昇傾向が相まって、より高い賃料帯の物件を選択できる世帯が増加していることが考えられる。
賃貸マンションオーナー様及び関連事業者様は、市場の変化を的確に捉えて適切な判断と選択を行うことが今後ますます重要であり、そのためにもぜひ三井不動産レジデンシャルリースの知見をご活用いただきたい。
※本記事に掲載しているデータは、三井不動産レジデンシャルリース株式会社が取得するマーケット情報を基に作成しています(2025年7月当社調べ)。エリア・行政区別の動向等、より詳細な情報をご希望の場合は、担当者へお問い合わせいただければご説明させていただきます。

