CASE
蔵前の可能性を信じて。地域を代表するタワマンの需要を予測する
- 城東エリア
- タワーマンション
2025.05.29

Project:JP noie 蔵前
所在地:東京都台東区/「蔵前」駅
プロジェクト概要
下町情緒溢れる街並みが広がり、モノづくりの街として新旧のクリエイターが集う、台東区蔵前。近年、数多くのオシャレなカフェやクラフトジンの蒸留所なども進出し、城東エリア内でも人気が上昇している地域だ。
日本郵政不動産株式会社より賃貸マンション開発の相談があったのはコロナ禍以前の2016年。当時はちょうどデベロッパー各社が台東区などの城東エリアに狙いを定め、マンション開発がより一層盛んに行われ始めたタイミングだった。
これから蔵前の需要はどの程度伸びるのか。急増する周辺の供給に埋もれてしまわないか。好立地、高層物件の強みを最大限に活かすにはどのような計画がよいか。蔵前の未来と可能性に向き合うプロジェクトになった。三井不動産レジデンシャルリース(以下、当社)は、自社管理物件のさまざまなデータに基づき、蔵前および高層タワーマンションの可能性を見定め、当時の賃料相場を上回るリーシング計画とそれを実現させる間取り構成・内装プランを提案。
結果として、提案は奏功した。「JP noie 蔵前」は2025年4月現在、全住戸の99%が稼働中だ。当社は当時、蔵前のタワーマンションにどのような可能性を見出し、「選ばれる賃貸」を実現したのか。プロジェクトの全容に迫る。
課題
・蔵前エリアにおいて供給が希少な賃貸タワーマンションの適正賃料の算出
・高価格リーシングを実現する、最適な間取りプラン
三井不動産レジデンシャルリースの解決策
当社が開発予定の物件の賃料を査定する場合、最も拠り所になるのが同一エリアの過去の賃料実績データだ。過去の実績に基づき、立地・計画のポテンシャルや市場における需給関係などを複合的に確認しながら、適正な範囲で賃料の上限を算定していく。
しかし、今回の蔵前のケースで言えば、当時はまだ周辺における高価格帯賃貸マンションの供給はわずかであり、都内で多くの管理実績がある当社においても、蔵前エリアにおけるタワーマンションの実績はなかった。

しかし、「蔵前は今後必ず伸びる」、「この立地のタワーマンションなら絶対に蔵前を代表する魅力的な物件となる」と予想していた当社担当者は、それを裏付けるデータを集め始めた。蔵前と近しい条件の他エリアでの賃料実績、タワーマンションだからこその賃料上昇傾向など、複合的なデータから相場より高い賃料を算出した。

また一方で、高価格リーシングを実現するための賃貸企画のサポートも実施。通常は1R・1Kにする広さの部屋を1DKにするなど、間数を増やす間取りプランを提案した。限りあるスペースを有効に活用するため、キッチンやユニットバスなどの設備サイズや配置を調整することで、少しでも居住スペースを広くとる方針とした。当社がこれらの提案をできるのには2つの理由がある。1つは入居者アンケート等の結果から、ご入居者様の使いやすい間取りを熟知している点。もう1つは賃貸管理会社であるにも関わらず1級建築士をはじめとする建築のプロフェッショナルが社内に在籍している点だ。
また、地域を代表する賃貸物件にふさわしい、さまざまな共用設備や設計の提案も行った。トランクルームを設置することや、同一建物内に併設されている高齢者施設とエントランスを分ける設計などは、当社の提案が採用されたものだ。

そして、2023年4月に入居を開始した「JP noie 蔵前」は想定通り約半年で満室になった。プロジェクト開始当初に予想していた通りに蔵前の賃貸市場が成長したことに加え、コロナ禍でリモートワークが浸透したことで予想以上に間数の多い間取りへの需要も高まった。
リースアップの早さ、そして当初の想定を上回る高水準の成約賃料は日本郵政不動産株式会社の担当者からも高い評価を得るに至った。
「JP noie 蔵前」は、現在、同地域を代表するタワーマンションとして、歴史と文化の街の新しいシンボルになっている。