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【池上】大型賃貸マンションの前例が無いエリアで、良好なリーシング結果を生んだ要因とは?

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2025.06.12

Project:オアーゼ池上テラス

所在地:東京都大田区/東急池上線「池上」駅・「蓮沼」駅

東京都大田区の池上エリアは、蒲田~五反田を結ぶ東急池上線「池上」駅を中心に、商店街や商業施設の賑わいと落ち着いた住環境を兼ね備えた住宅街だ。近年は池上駅の駅舎改良工事に伴い、洗練された商業施設が開発されたが、昔ながらの商店街も賑わいを見せ、駅の北側には歴史ある池上本門寺の静寂な雰囲気が漂い、ゆったりとした暮らしを楽しめるエリアでもある。

そんな池上エリアに、2025年1月に竣工したのが賃貸マンション 「オアーゼ池上テラス」だ 。事業計画から運営管理までサポートを担当する三井不動産レジデンシャルリースが「オアーゼ池上テラス」で目指したのは、池上エリアのポテンシャルを最大限に活かした、分譲マンションにも劣らないグレードの新たな賃貸マンション。

「オアーゼ池上テラス」がどのような背景で誕生し、どのような戦略で高賃料でのリーシングを実現したのか、三井不動産レジデンシャルリースで担当した稲垣亮と本木泰洋に聞いた。

 大型賃貸マンションの前例が無いエリア

──三井不動産レジデンシャルリースが「オアーゼ池上テラス」を管理受託することになった経緯について教えてください。

稲垣:事業主様は自社所有地の開発や新規物件の取得・運用をする企業です。三井不動産レジデンシャルリースとしては10年以上のおつき合いがあり、今回もそのご縁で他社様を含めた企画立案・管理のコンペに参画する機会をいただきました。

事業主様は物流施設、マンション、オフィス、商業施設などの自社開発を含めた不動産賃貸事業を主に営んでおられ、本計画地における有効活用においても、土地の持つポテンシャルや新たな可能性を模索されておりました。

池上エリアには「オアーゼ池上テラス」のような1LDK〜3LDKを中心としたDINKS・ファミリータイプの賃貸マンションが極めて少なく、分譲マンションや戸建てが中心のエリアで、そもそも賃貸マーケットが形成されていない状況でした。

DINKS・ファミリータイプの供給が少ないということは、競合が少ないため需要があるとも考えられます。しかし、本当にファミリータイプのマンションを借りるようなDINKSやファミリー層に需要があるエリアなのかは、不透明でした。全体敷地が3,000㎡を超える大規模プロジェクトであることから、事業主様も弊社も事業を推進するために、慎重な検証が必要であると考えていました。

プロジェクト営業二部 プロジェクト営業課(取材当時) 稲垣 亮

近隣エリアのマーケットデータから活路を見出す

──同エリアに前例が無いなかで、どのように市場リサーチを進めたのでしょうか。

本木:他エリアにはなりますが、弊社にはDINKS・ファミリータイプの供給量が少ないエリアにおけるリーシングの実績があります。ご入居者様の属性や、初期リーシングに要した期間など、他エリアの物件データを、本プロジェクトと照合させていきました。

また、近隣のJR沿線駅である蒲田、大森、大井町といったエリアには提携先の仲介会社へのヒアリング調査により、ファミリーからの需要があることを把握できたのですが、分譲賃貸の供給がメインで供給量が限定的、しかし募集に出ると短期で成約に至っている状況でした。蒲田、大森、大井町などの近隣エリアで賃貸をお探しのDINKS・ファミリー層を取り込むことができれば、池上エリアでも順調なリーシングが見込めると推察しました。

プロジェクト営業一部 プロジェクト営業課(取材当時) 本木 泰洋

──「オアーゼ池上テラス」はハイグレードなマンションですが、分譲マンションのような仕様にするという判断もマーケティングに基づいて行ったのですか?

本木:そうですね。先に述べたように、「オアーゼ池上テラス」は蒲田、大森、大井町で賃貸を探しているDINKS・ファミリーを取り込みたいと考えていました。同エリアの分譲賃貸と遜色のない設備・仕様を担保することで、通勤が少し不便になっても、都心勤務の高収入層を取り込めると考えました。

また弊社で実施している入居者アンケートにおいても、DINKS・ファミリー層に食洗機・床暖房といった設備にニーズがあることが確認できたため、本プロジェクトでも実装することとしました。

──競争力の高い物件とするために、他にこだわった点はありますか。

稲垣:専有部は1LDKから3LDKまで全83戸に食洗機と床暖房が設置されている他、1階は全住戸専用庭が敷設されており、大型犬も飼育可としています。また高層階にはルーフバルコニー付きの住戸をプランニングするなど、多様な顧客層のライフスタイルに合わせてお部屋を選択していただけるようにしました。
ただ、一番はこの物件に住まわれる入居者様の生活をイメージすることで、事業関係者の皆様とディスカッションをしながら、顧客満足度を追求していった点にあると感じています。


共有部にはワーキングラウンジやコモンラウンジなどを設置しています。三井不動産グループの三井デザインテックと協業し快適な空間を創出しています。

ルーフバルコニー付きの居室

専用庭付きで開放感のある1階の居室

大型賃貸マンションならではの共用部ラウンジ

三井不動産グループの総合力で、さまざまな課題に対応

──お隣にはドラッグストアの「ウェルパーク」があり、買い物の利便性も高いですが、実はここにも三井不動産レジデンシャルリースが関わっているのですよね。

稲垣:はい。ご依頼をいただいたタイミングで、全体敷地が3,000㎡を超える広さであったため、本計画地の有効活用方法の多角化も考慮して検討したいとのご意見を伺っていました。土地の持つポテンシャルや市場動向を考慮し、複数の選択肢を組み合わせることで、より安定した資産運用を行いたいというご見解でした。

弊社は事業主様との多角的な視点からの意見交換を行い、敷地の一部を売却した場合、または一部を土地貸しした場合などさまざまなシミュレーションを行いました。その結果、事業主様が本プロジェクトにおけるリスク分散を含めた投資バランスを鑑み、賃貸マンション開発と敷地の一部を借地とする企画をご選択され、店舗を誘致することに至りました。

土地を第三者に賃貸する事業においては三井不動産リアルティが仲介業務を担い、複数の企業様にご興味をお示しいただいた結果、最終的に「ウェルパーク」様とご契約の運びとなりました。

──賃貸マンションの企画のみならず、土地活用の提案もできるのですね。

稲垣:おっしゃるとおりです。三井不動産グループにおいては、不動産関連の様々なノウハウ・ソリューションの提供が可能であり、本プロジェクトにおいても土地賃貸借の仲介を三井不動産リアルティが担い、ラウンジスペースの監修を三井デザインテックが担当しています。賃貸マンション事業の企画立案のみならず、グループ各社の商品をオーナー様に提供できる点は三井不動産レジデンシャルリースの強みの1つと考えています。

計画を上回るリーシング。前例の無いエリアでも成功できる

──池上エリアでは前例のない、ハイグレードなファミリータイプの賃貸マンションが2025年1月に竣工したわけですが、リーシングの状況はいかがでしょうか。

本木:リーシングにあたっては仲介会社への営業のほか、JR京浜東北線デジタルサイネージやSNS広告へ出稿するなど、池上エリアに限らない広域のターゲットにリーチできる広告戦略を展開しています。

稲垣:2025年5月現在(記事制作時点)で満室に近いご成約をいただいています。初期リーシングを竣工から5ヶ月間で実行する予定だったのですが、計画を上回る成約状況となっております。

──池上エリアとしては高賃料であるにも関わらず、早いリーシングですね。今回のプロジェクトの成功要因を挙げるとすれば、どんなところになりますか?

本木:やはり、これまでの弊社管理実績をはじめとするデータに基づいた計画・企画立案をたくさんの事業関係者の皆様と協力して具現化できたことが、現在のご成約状況につながっているのではないかと思います。池上エリアだけでなく、近隣のターミナル駅まで含めてデータを分析してターゲットを定めたことで、1LDK~3LDKに住まう客層のニーズをとらえた賃貸マンションに仕上げることができたと考えています。

稲垣:設計段階から事業主様と同じ目標や課題感を共有できたのは、やはりターゲットのペルソナを細かくつくりあげていったことや、その元となるデータの詳細な分析の賜物であると考えています。

「なんとなくファミリーにハマるだろう」ではなく、データに基づき入居者ニーズを突き詰めて考えた結果が、現状の良好なリーシングに表れているものと思います。

前例のないエリアだったので、プロジェクト当初は不安もありました。今この結果が出て、改めて事業主様と弊社の目論見が「間違いではなかった」という喜びでいっぱいです。また、前例のないエリアでも高賃料でのリーシングが可能であるという、良い事例にもなったのではないでしょうか。

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